墜落防止用アンカーと歩廊の必要性
折板屋根上での作業、特に太陽光パネルの設置、点検作業においては、主に①屋根端周辺の高所から墜落する危険、②折板屋根の凹凸によるつまずき転倒の危険があります。
特に、電気保安法人や太陽光保守管理会社の中で、保守点検時の不安全のために契約を拒否する業者が増えつつあり、太陽光パネルの保守管理が困難になるという問題が顕在化しています。屋根点検における不安全の問題は経済産業省も懸念を示しており、安全に点検が行える仕組みを構築する必要性を認識しています。
第七次エネルギー基本計画に謳われている通り、折板屋根上の太陽光パネルの設置は、屋根部分の遮熱性を高め、環境負荷が少ないことから、今後ますます増えていくと考えられますので、屋根上の点検に対する安全対策を確実に実施しておく必要があります。
折板屋根上作業の法規制について
折板屋根上作業における安全については
①屋根の端部から墜落する危険について〔労働安全衛生規則:第518、519、520、521条〕の法規制があり、高所から墜落しない様に手すり等の設置、それが困難であれば、墜落制止用器具の使用が求められています。
②折板屋根の凹凸によるつまずきの危険について〔労働安全衛生規則:第540、542、544条〕の法規制があり、通路や作業場の床面のつまずき対策が求められています。
墜落対策:手すり等の設置について
太陽光パネルを設置した折板屋根の端部に手すり等を設ける場合、次の問題があります。
①もともと手すりの設置を想定しないで建設されているため、手すり等を取り付けるスペースが確保できない可能性があります。
②折板屋根の建物は限界設計されている屋根が多く、折板屋根周囲に手すり等を設けると荷重負担や風圧負担に耐えられない可能性があります。
③手すり等の設置には足場の設置が必要で、非常に多額の費用がかかります。
④手すり等の日陰により太陽光パネルの発電効率を低下させる可能性があります。
墜落対策:墜落制止用器具の設置
太陽光パネルを設置した折板屋根で墜落制止用器具を用いる場合、次の問題があります。
①フォールアレスト方式の墜落制止用器具(墜落した場合に吊り下がることで30分程度生命を維持し、救出を待つ保護方法)は建設現場で一般的に用いられています。しかし太陽光パネルの保守点検の様に少人数作業や高齢者作業である場合、墜落して吊り下がった場合の救出方法に重大な欠陥があり使用できません。ここが建設現場と点検の現場の大きな違いです。太陽光パネルの保守点検時はフォールアレスト方式ではなく、レストレイン方式の墜落制止用器具(墜落危険領域に近づかせない行動制限をするタイプの保護方法)を使用しなければなりません。レストレイン方式の墜落制止用器具は日本ではまだあまり使われていないため、器具の選定、入手においては専門的知識を要します。
②レストレイン方式の墜落制止用器具の使用のためには、器具のランヤードを固定するアンカー(親綱)が必要です。既設の折板屋根上における親綱器具で市販されているものもありますが、レストレイン方式への適用性、点検作業への適合性、費用、太陽光パネルへの影などの点で適切な器具とは言えませんでした。
折板屋根の凹凸によるつまずき転倒の危険対策:歩廊の設置
太陽光パネルの保守点検用通路の長さは長いため一般的な歩廊では設置費用が高くつきます。歩廊の設置費用を下げるのは製品価格だけでなく荷揚げ費用や施工費をいかに下げるか、また設置を省けるところは省く方法を取ることがポイントです。
一般的な歩廊は溝蓋のグレーチングや仮設足場の道板を使用されているのが多く、重くて長さが長いため、高所である折板屋根上に設置するには荷揚げ費用や施工費が高くなります。また設置高さが高く、折板屋根の底部分との段差が大きく昇降しにくくなります。
サクガッチ・パネル・ルーフ・パスの開発のきっかけ
マジカナテック㈱は2017年から屋根安全金具(墜落防止金具)の開発に取り組み、①瓦屋根安全金具(3タイプ)、②化粧スレート屋根安全金具、③タル木固定化粧スレート屋根安全金具、④金属屋根縦葺平部固定安全金具、⑤金属屋根棟固定安全金具、⑥金属屋根縦ハゼ固定安全金具等の住宅を中心とした屋根安全金具の開発を行ってきました。
2025年4月頃から、折板屋根用安全金具が無いかの問合せが多くなり、2025年10月に電気主任技術者として多くの太陽光発電設備の保守管理実績を持つ中本葛西電気管理事務所様から墜落防止用アンカー及び歩廊の共同開発の要請を受け開発を進めました。
商品名はサクッとガッチリ固定できるイメージとして中本さんから「サクガッチ」の名前を提案され、タマゴッチみたいな名前と思いつつ、安全策(サク)と捉えれば良い名前と思い受けました。
墜落防止用アンカーと歩廊の開発の考え方
開発にあたり①価格は他社品と比べ50%以下の低価格、②高い安全性、③パネルも屋根も痛めないという目標をたて知恵を絞り仕上げ様としました。また、電気主任技術者として多くの太陽光発電設備の保守管理実績を持つ中本葛西電気管理事務所様と共同開発することにより、保守点検作業における安全性と作業性を両立させた高性能の製品開発を目指そうとしました。
墜落防止用アンカー(サクガッチ・パネル・ルーフ)の開発
墜落防止用アンカーの固定は折板屋根のハゼ部分に固定しますが、屋根材を傷付けたくないという考え方から、「ハゼ固定金具」を使うこととしました。この金具は大きな荷重を掛けると滑るため、1ヶ所150kgf程度の強さであり、万一墜落した場合、1,000kgf程度の荷重がかかることから、アンカーをワイヤーロープで8個以上連結して使用する方法として引張り強さを高める仕様としました。
墜落防止用アンカーとしては、中本さんからレストレイン方式(墜落危険領域に近づかせない行動制限をするタイプの保護方法)の提案があり、保守点検を行う太陽光パネルに出来る限り近い位置にアンカーを取付けたいとのことから、太陽光パネルに最も近い太陽光パネル周囲のアルミフレームの側面にアンカーを取付ける方法を提案しました。これは既に商品化した「ハト除けガシット」の技術の応用で開発でき、太陽光パネルは「ハゼ固定金具」で少なくとも4ヶ所以上で固定しており、耐風性に耐えられる強さもあり、「サクガッチ・パネル」として商品化を進めました。
「サクガッチ・パネル」の金具寸法は約w100×L185×h60mm、重量は約600g、使用荷重は1ヶ所150kgf、構成部材はアルミやステンレス等の耐久性に優れた素材を使用しています。
太陽光パネルに墜落防止用アンカーを取付けるのに抵抗がある方のために折板屋根のハゼ部分に固定する「サクガッチ・ルーフ」の商品化も進めました。
「サクガッチ・ルーフ」の金具寸法は約w110×L130×h100mm、重量は約880g、使用荷重は1ヶ所150kgf、構成部材はアルミやステンレス等の耐久性に優れた素材を使用しています。
ハゼが無い折板屋根の場合はハゼ固定が出来ないため「サクガッチ・パネル」のご使用をお勧めします。
歩廊(サクガッチ・パス)の開発
歩廊については、低価格化のためには軽量化にこだわり、折板屋根用歩廊として「サクガッチ・パス」の商品化を進めました。
折板屋根は高所にあり、重量が重いと荷揚げに重機を使用する必要があり、軽いと手運搬も可能であり荷揚げ費用を削減できます。また1人作業も可能になります。
折板屋根上に設置する歩廊の要求性能は、耐圧性・耐風性・耐久性を確保しながら軽量化と低価格を得るために、①支持スパンを短く、②設置高さを低くするため、ハゼ間に歩廊が収まるデザインとしました。歩廊の設置高さを低くすることにより、歩廊は折板屋根の流れ方向と垂直の凹凸のある方向のみ設け、流れ方向は底部分を歩行できるためコスト削減のためには歩廊設置は省きたく、歩廊との段差を極力小さくすることで無理なく昇降できるデザインにしました。
「サクガッチ・パス」の寸法は一般的なハゼピッチ500mm用の約w250×L497×h65mmとして生産・在庫しています。「サクガッチ・パス」の重量は約1kg/個、1mあたり約2kgであり軽く、屋根への負担低減や荷揚げ、横持ち運搬が軽減され、1人作業も可能になります。
「サクガッチ・パス」のデザインは、折板屋根のハゼ間に1個ずつ置く形状とし、置くだけで歩行できる状態になり、手前から設置することで歩行移動はかなり楽になります。構成部材はアルミやステンレス等の耐久性に優れた素材を使用しています。
今後の取り組み
折板屋根上での太陽光パネルの点検作業において、①屋根端周辺の高所から墜落する危険、②折版屋根の凹凸によるつまずき転倒の危険に対し、サクガッチ・パネル・ルーフ・パスの開発により、保守点検作業における安全性と作業性を両立させた製品を世に出すことができました。
複数の大手保安法人様・太陽光保守管理会社様からこの様な商品を探していました等の喜びの声も多く、自信を持って市場に出しています。
①作業者の安全を確保するため、②労働安全衛生規則を順守するため、③太陽光発電の普及のため、折板屋根上作業の安全対策商品:サクガッチのPR活動を積極的に行っていきます。普及品になるまで頑張りたいと考えています。ご支援宜しくお願い致します。












