温暖地住宅の金属屋根には太陽光パネル設置は効果的
金属屋根は軽量であるため地震に対して建物は潰れにくく、安全性重視から温暖地の住宅にも多く使用される傾向にあります。
金属屋根は従来寒冷地に多く使用されており屋根下地材の高温劣化の心配は殆どありませんが、温暖地で使用した場合、屋根表面温度は夏場では90℃以上の高温になりやすく、下地材のルーフィングや野地板は高温劣化しやすく、防水性の低下や釘・ビスの引抜き強さが小さくなり耐風性等が低下するという心配があります。特に室内側に断熱材がある場合は更に高温になりやすく劣化を早めます。
対策として太陽光パネルを設置した場合、遮熱効果があり、室内の高温化の抑制や屋根材や下地材の高温化を防ぎ、温暖地住宅の金属屋根には太陽光パネル設置は効果的と考えます。
金属屋根の中で立平葺きは縦ハゼがあり太陽光パネルを取付けやすいのですが、耐風性の安全性に少し疑問を感じ最適な設置金具の検討を進めました。
金属縦ハゼ屋根の太陽光パネルの固定は縦ハゼ部分が一般的です。
金属縦ハゼ屋根への太陽光パネルの固定は、瓦屋根や化粧スレート屋根と違い、金属屋根に穴を開けることは耐漏水性の観点から敬遠され、野地板や垂木への直接固定ができず、金属縦ハゼ部分での固定で風圧(負圧力)に耐えられる様にする必要があります。
瓦屋根や化粧スレート屋根と同じ固定数では強度確保できません。
瓦屋根や化粧スレート屋根の太陽光パネルの固定部分は、屋根下地材に直接ビス2~4本程度で止め付けているのが一般的ですが、金属縦ハゼ部分の下地材への固定は釘やビス固定が1本以下であり、はるかに少なく、同じ固定数では引抜き強さは確保できません。
金属縦ハゼ屋根の固定間隔は2~3列ごとが一般的でどう考えても強度不足です。
金属縦ハゼ屋根の太陽光パネルの固定は、瓦屋根や化粧スレート屋根とほぼ同じピッチ:約666~999mm(縦ハゼ2~3列ごと)で取り付けられているのが一般的ですが、明らかに引抜き強さに差があり、大きな台風では金属縦ハゼ屋根が、太陽光パネルに加わった風圧力で引っ張られ破損や飛散する恐れがあります。
屋根ふき材の固定は、建築基準法に従い風圧に対する構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算を行い、建物の高さや屋根勾配、強風地域別の基準風速に基づき、釘やビスの固定本数を決められ施工されており、太陽光パネルを設置して風圧力を確保するためには金属縦ハゼ部分に固定金具をほぼ全数取付け、太陽光パネルを固定すべきです。
現状の固定ピッチでは固定度が約1/3~1/2程度であり、耐風性能は既存の屋根に比べ約1/3~1/2程度に低下している状態であり、早急に改善が必要です。風圧力は短期荷重であるので安全率を考慮しても少なくとも2倍以上固定度を高める必要があります。
金属縦ハゼ部分に金具を全数取付ける場合の問題点
金属縦ハゼ部分に金具を全数取付けた場合、取付け時間や金具費用が約2~3倍かかります。しかし耐風性の安全性を軽視するのはもってのほかで、安全を確保しつつ、安く早く設置できる方法を考える必要があります。
金属縦ハゼ2連固定太陽光パネル設置金具の検討
金属縦ハゼ部分との固定数量を増やす方法として、太陽光パネル固定金具1個に対し2連の縦ハゼを一度に固定できる様にすれば、取付け時間や金具費用を約半減できると考え、チャンネルの両端に縦ハゼ固定金具を設け、それに1個の太陽光パネル固定金具を一体化した金属縦ハゼ2連固定太陽光パネル設置金具を考えました。
試作品を作製し縦ハゼ部分に取付けてみると、一度に2個の縦ハゼ部分に固定ができるだけでなく、2連で固定することで拘束力が増し、縦ハゼ固定部の浮きを小さく抑えられることを確認しました。
チャンネルの両端に縦ハゼ固定金具を設け2連の縦ハゼに固定すると、上部チャンネルと鋼板及び野地板とがサンドイッチ構造となり剛性が高まると共に、縦ハゼ固定金具で両サイドの縦ハゼのビス固定部分を抑えることができ、浮き上がりにくい構造になりました。
金属縦ハゼ2連固定太陽光パネル設置金具の施工性
金属縦ハゼ2連固定太陽光パネル設置金具は所定の位置の縦ハゼにはめ込み、両端の固定金具のナットを締め付けるだけで固定できます。
金具本体の太陽光パネル設置台は軒先端部金具部分で100mm、中間棟部分で150mmあり、調整長さは約20mm程度あり、20mm以下の寸法誤差は吸収でき、設置金具を事前に全数設置しておくことが可能です。
押え金具の端部金具や中間金具は事前に組立てており、金具本体の設置台に挿入することで金具を設置取付けができます。取付けは簡単で設置時間を大きく短縮できます。
「金属縦ハゼ2連固定太陽光パネル設置金具」の耐圧性能
金属縦ハゼ屋根・2連固定太陽光パネル設置金具は自重や積雪荷重も2個の縦ハゼ部分で受けるため、屋根下地材に分散して荷重がかかり局部的な荷重はかかりにくくなり良好な状態になります。
「金属縦ハゼ2連固定太陽光パネル設置金具」の押え金具の品揃え
太陽光パネルの設置にあたり、厚さ30mm・32mm・35mm・40mm等の取付けができる様に軒先端部金具・中間金具・棟端部金具の押え金具の品揃えをしています。
適用する金属縦ハゼ屋根と太陽光パネルについて
適用する金属縦ハゼ屋根の縦ハゼ部の仕様は、高さ27mm以下で幅13mm以下の縦ハゼに設置できます。縦ハゼの間隔は333mmピッチと350mmピッチに対応できます。太陽光パネル厚さは30mm・32mm・35mm・40mm等に対応できます。
今後の取り組み
金属縦ハゼ屋根の太陽光パネルの耐風性を高めるため、金属縦ハゼ部分との固定数量を増やすと共に縦ハゼ部の浮き上がりを防ぐ「金属縦ハゼ2連固定太陽光パネル設置金具」を開発しました。
今後、数多くの施工実績を付け市場展開していきます。
今後、数多くの施工実績を付け市場展開していきます。